罫線画像オーバーレイ印刷とは(追加オプション)
罫線画像オーバーレイ印刷とは罫線の画像データをSCS印刷罫線に変換して
SCS印刷スプールに埋め込んで印刷する機能のことです。
プリンタ専用の帳票定義体で特定のプリンタの印刷に制約されていたのから
解放されて自由にどのプリンタでも印刷できるようになります。
また高額なソフト会社の保守料からもコスト削減することができます。
SpoolライターVer5.0の追加オプション料移行は保守料はかかりません。
つまり追加オプションの保守料は無料です。(もちろん保守サービスは継続されます)
プリンタ専用の帳票定義体からの移行
プリンタ独自のの帳票定義体と呼ばれる罫線イメージを保管している場合
容易にはSCS印刷データには変換することはできません。
しかしブランク・データを帳票定義体を使って印刷すれば
罫線イメージだけを印刷することができます。
出力されたこの罫線イメージを複合機でスキャンすれば
画像ファイルとして取り出すことができます。
次にこの画像ファイルをWindowsペイントで.PNG画像に変換して
IBM iのIFSにアップロードすれば
罫線画像オーバーレイ印刷として印刷プログラムの
オーバーレイ印刷(OVRPRTEX)と印刷オーバーレイ削除(DLTOVREX)で
画像罫線イメージをSCS罫線として印刷することができます。
他社ソフト会社の罫線管理からの移行
APWではない他社ソフト会社の製品による罫線イメージも
この罫線画像オーバーレイ印刷によって簡単に移行することができます。
プリンタ専用の帳票定義体からの移行と同じように
ブランク・データをソフト会社製品の罫線管理を使って
多くはWindowsに保管されている罫線データであっても
罫線イメージだけを印刷出力することはできます。
同じように画像ファイルをPNG画像に変換してIFSにアップロードすれば
この罫線画像オーバーレイ印刷で罫線をオーバーレイ印刷することが
できます。
コストの削減に
SpoolライターVer5.0の罫線画像オーバーレイ印刷に移行する目的は
維持コストの削減です。
プリンタ独自の帳票定義体による印刷は罫線の印刷が高価なプリンタに
限定されてしまいます。
罫線画像オーバーレイ印刷に移行することによってどんなプリンタにでも
同じ罫線で印刷することができるようになります。
また他社ソフト会社の製品による罫線ではWindowsなどを必要として
罫線の保守にも独自のデザイン・ツールの操作を必要とします。
罫線画像オーバーレイ印刷で画像に変換してしまえば
Windowsペイントで誰にでもどのWindowsでも無料で罫線を保守することが
できます。
SpoolライターVer5.0の印刷編集を使えばさらに編集は簡単にななります。
(印刷の編集は追加オプションです)
ソフト会社の製品の高額な保守料の支払いはもはや不要となります。
PDFをサポートしない安価なプリンタにも印刷できます
罫線画像オーバーレイ印刷は既存のスプールに罫線のSCS印刷ストリームを
直接埋め込みますので印刷にはPDF化する必要がありません。
したがってPDFをサポートしていないような安価なプリンタにも印刷することが
できます。
画像の罫線にするとやさしく編集できます
画像の維持には多くの市販ソフトがあり例えばWindows付属のペイントを
使えば無償で誰にでも罫線を編集することができます。
さらにSpoolライターVer5.0の印刷の編集を使えばマウス操作だけで
罫線をドラッグするだけで簡単にどなたにでも編集することができます。
[実行サンプル例]
OVRPRTFEX FILE(QPRINT) FRONTOVL('/SPOOLWTR/PNG/APWFORM.PNG') SECURE(*YES) OVRSCOPE(*JOB) : CALL MYPRTPGM : DLTOVREX FILE(QPRINT) LVL(*JOB)
[解説]
印刷スプールの実行直前に OVRPRTFではなくSpoolライター提供の OVRPRTFEX (=拡張印刷装置ファイル一時変更)を
使って前面オーバーレイ・パラメータ(FRONTOVL)にPNG画像ファイルをIFSのフル・パス名で指定します。
次にユーザーの印刷プログラム(=この例ではMYPRTPGM)を実行します。
最後にDLTOVRではなく必ずSpoolライター提供のDLTOVREXを使って終了してください。
DLTOVREXによって新しい罫線が埋め込まれたスプールが同じスプール名で作成され
古いスプールは消滅します。
DLTOVREXの指定するファイル名は必ずDLTOVREXで指定したものと同じファイル名にしてください。
このファイル名の指定はひとつだけです。
DLTOVREXで終了すると同時に前面オーバーレイ(FRONTOVL)に指定された罫線が埋め込まれたスプールが
生成されます。
罫線画像への移行の方法
- (1)印刷罫線だけを出力する簡単なプログラムを作成して罫線を印刷します。
- (2)罫線が印刷された用紙を複合機でスキャンして印刷イメージ・ファイルとして保存します。
- (3)Windowsペイントでそれを画像ファイル(.PNG)に変換します。
- (4)画像ファイル(.PNG)をIBM iのIFSにアップロードして保管します。
アップロードはFtpで無変換でアップロードします。
- (5)印刷フォームの出力 (RUNPRTFRM)コマンドによって
SCS印刷罫線として正しく印刷可能か確認することができます。
印刷フォームの出力 (RUNPRTFRM)を実行するとSCS印刷罫線出力の確認と
同時にAPW書式ファイル(SPLUSRSYS/APWFORM)への自動追加も行われます。
本番の印刷前の準備が整うことになります。
罫線画像オーバーレイ印刷に関連するコマンド
- ・印刷フォームの出力 (RUNPRTFRM) : 罫線画像をSNS印刷ストリームに変換して印刷します。
移行した罫線画像(PNG)の印刷を確認することができます。 - ・印刷オーバーレイ削除 EX (DLTOVREX) : OVRPRTFの代わりに使用して罫線画像オーバーレイ印刷を
印刷プログラムに指示します。 - ・印刷オーバーレイ削除 EX (DLTOVREX) : DLTOVRの代わりに使用して罫線画像オーバーレイを取消します。
取消しですが実際はこのコマンドの実行によって
印刷プログラムのスブールに罫線SCS印刷ストリームが
埋め込まれた新しいスプールが生成されます。
元のスプールは消滅します。 - ・PNG の読取り(READPNG) : IFSの画像ファイル(PNG)を読み取ってAPW書式ファイル(SPLUSRSYS/APWFORM)に
変換します。DLTOVREXの内部でこのコマンドが実行されます。
ユーザーはこのコマンドを使う必要はありません。
技術解説
印刷ファイル・オーバーレイ EX (OVRPRTFEX)コマンドによる一時変更
OVRPRTFEXコマンドで指定された前面オーバーレイ(FRONTOVL)で指定された画像IFSファイルの
固有識別番号(=IFSのファイルにはすべてi5/OSがつけた固有の識別番号があります)を
OVRPRTFコマンドのFNTCHRSETバーラメータのコード・ページ(CODEPAGE)として
オーバーライドで埋め込みます。
同時にQTEMP/FRONTOVL という*DTAARAにIFSファイルのフル・パス名が書き込まれます。
後でDLTOVREXコマンドがこの名前を取り出せるようにしておくためです。
同時にスプールは HOLD(*YES)にセットして直ちに印刷されないようにしておきます。
印刷プログラムの実行
ユーザー・プログラムによる通常の印刷の実行が行われます。
ただしこのスプールはHOLD(*YES)であったため直ちにプリンタで印刷はされません。
印刷オーバーレイ削除 EX (DLTOVREX)コマンドによる一時変更の取消し
罫線画像をオーバーレイ印刷するのはこの処理です。
データ・エリア : QTEMP/FRONTOVLから画像IFSファイル名が取り出されて
画像IFSファイルからAPW書式ファイル(SPLUSRSYS/APWFORM)に
書式データがREADPNGコマンドによって生成されます。
ライブラリーSPLUSRSYSに最初はAPW書式ファイル(SPLUSRSYS/APWFORM)は
存在していませんがREADPNGコマンドによってこれもライブラリーSPOOLWTRから
自動的に複製されて作成されます。
書式は画像IFSファイルの識別番号(=ファイルID)の先頭に文字'C'をつけた名前の
メンバーとして追加されます。
識別番号(=ファイルID)はi5/OSによって一意的に割振られていますので
これによって画像IFSファイルとAPW書式ファイルのメンバーは1:1に対応づけられます。
次に画像IFSファイルが指定された場合は対応するAPW書式ファイルのメンバーが
選択されます。
APW書式ファイルのメンバーとは罫線を表すSCSストリームの一部です。
次に印刷プログラムが出力したスプールに対してこのAPW書式ファイル・メンバーの
SCS罫線印刷ストリームが混在されて罫線つきのスプールが生成されます。
元のスプールは削除されます。
このようにして内部的にはREADPNGコマンドを使って罫線つきのスプールが
SCSストリームとして生成されます。
生成されたSCSストリームは完全なSCS印刷ストリームですので
罫線を印刷するためにPDF化する必要もありません。
PDFの印刷をサポートしていないプリンタにでも印刷することができます。
罫線の編集
OnTheWeb上での編集
OntheWebでは /SPOOLWTR/PNG 配下に保存しているPNG画像ファイルをオープンして
編集することができます。(実行には編集の追加オプションの契約が必要です)
印刷の編集を使うと罫線そのものをマウスでドラッグして移動させることもできます。
罫線の編集はとても簡単に行えます。
ただしこの変更によって罫線画像そのものが変更されるわけではありません。
OnTheWebで行った編集を保存しておくと次回からは編集済みの罫線データが
優先されて印刷されます。